酒害体験談

「しんせい研修会にて」

発表者 K・M
所属 世田谷断酒会

 先日は三連休の最終日でしたが多くの方にご清聴頂きまして有難う御座いました。テーマが「家族の支え があって今がある」ということで体験発表致しました。先ずは生い立ちから始まりまして、父親との死別、 養父と母親との関係を話させて頂きました。姓が変わった所から私の中にアルコール依存の原点が出来上が り、マザコンであり養父と母親を取り合っていたことで、あらぬ方向に進み歯止めが利かなくなったこと。 現在、酒は止まっているがドライドリンカーであって、女房に暴言を吐いたり、三歳の息子が私の顔色を伺 っていることに自分自身でも気付いていても中々修復出来ないことをメインに話させて頂きました。
二十七歳で吐血をして三鷹の杏林大学付属病院に運ばれて治療をしようとしたところ、幻覚、幻聴で大暴 れして鎮痛剤を打たれ拘束されての治療になり、家族に(前女房両親含む)病名が言い渡されました。「息 子さんは、アルコール依存症です。当院では専門的な治療は出来ませんのでなるべく早く専門病院で受診し て下さい」。この医師からの宣告により前妻家族はアル中の嫁では可哀想と、慰謝料、養育費も要らないか らと離婚。二人の息子にはお父さんは死んだことにするので絶対に会わせないと、病院のベッドで離婚届け に判を押さされました。その後も両親もアルコール依存症とは認めたくなかったのか、一日に何本飲めば満 足するか?などと節酒を試みるが、余計に隠れ酒が酷くなるだけで養父との溝が更に深まって行くだけの日 々、止めたい酒が止まらない自分、犯罪を犯して塀の中に入れて貰えば止まると思い、暴行を働いてみても 被害者が怖がって関わりたくないと被害届を下げられたり、コンビニで堂々とかっぱらってワンカップ二本 を飲み干してレジでご馳走さんと金も払わずに店を出ても追いかけられもせずに、結局酒を止めることが出 来なかった。その他にも犯罪擬いのことを多々するが全て親が尻拭い。自分の酒の飲み方の異常に嫌気が差 し、小さなクリニック回りをするが精々止めて3ヶ月。酒が止まると仕事を始め、止まることは三回目まで 、そして連続飲酒が始まって会社をクビになるの繰り返し。今の女房と出会ってからも、再婚はやめた方が 良いと両親や伯父が女房に助言していました。しかし、女房は反対を押し切り再婚をしてくれました。この 辺から真剣に酒を止めようと墨田断酒会に繋がりましたが、断酒会の先輩達の助言とは真逆に進んでおりま したので、断酒も上手くはいきませんでした。私は母親から現女房にバトンタッチされても中々と断酒が出 来ませんでした。何故なら、人の為に酒を止めてやっている!と思っていたからです。そんな私でも世田谷 断酒に移籍してから高段者の方達に支えられ自分の為の断酒に切り替えること出来ました。
しかし、そこから自己免疫性肝炎という難病が発症して、やり場の無い現実に直面しました。何故?何故 ?と酒を止めることを真剣にしているのに?酒を止めても苦労するのはおかしい、だったら止めなければ良 かったのに。治療方法の症例が少ない為に内科の主治医も手探りなので薬の副作用ばかりが出ていました。 昨年の誕生月の本部例会前には急性緑内障にて左目失明、眼球摘出を行い現在は義眼ですが、本部例会に参 加した御陰で多くの仲間からお力を頂き酒魔にも負けず現在に至っております。ステロイドと免疫抑制剤を 服用していることで抵抗力が無く、息子の風邪を移されても対応出来ないで一週間入院し、クーラーの効き すぎている場所に行くと首、肩、頭痛が左側のみに起こる。初めてばかりの夏ですが、それを受け入れて家 族(女房、息子)の支えがあって断酒会に参加させて貰っております。四月からは世田谷断酒会会長を務め させていただいておりますが、会長になったから飲酒欲求が無い訳ではなく常にあります。むしろ多くなっ ていると思いますが例会に出席して正直に話すことで解消しております。
今、実家の母親が引越し鬱になっております。今までは息子の酒を止めることばかりに専念しており気が 張っていたのですが、ここ数年はそんなことも起こらなくなり東京に家が有っては息子の酒が止まらないと 判断を下し、杉並の家を売り払い養父も定年退職したのでのんびりと暮らすはずでしたが、夫婦二人だけで は上手くいかないみたいです。
最近は若い方も多く入会されて色々と相談をして頂いております。再飲酒をしてしまった、会を止めたい 等が多いのですが、再飲酒をして一番傷ついているのは本人です。私も何度もやっているのでわかります。 しかし、誰かの為に酒を止めているうちは酒は止まりません。切掛けは家族の為で始めても、最後は自分の 為にしないと本物の真剣な断酒にはなりません。断酒会は通っているうちに家族の様な感じになります。そ れも家族の支えかな?って思っております。
新生研修会運営委員の皆様、貴重な体験発表をさせて頂きましたことを感謝致します。最後になってしま いましたが、研修会では最初に言った様な記憶ですが、家族の支えはやはりカミさんと息子でしょうね。三 歳の息子の「パパ今日何処行った?」「断酒会」、この様に息子の言葉や例会からの帰りを寝ずに待ってい てくれることが励みになっています。こんな私ですが酒を飲まなければ父親もやらせて頂けますし、真逆に 進んできたけれど自分の為の断酒が出来れば、家族も幸せに出来ると思ってこれからも一日断酒、例会通い で頑張ります。
文面にしますと堅く感じてしまいますが、今年の酒なし忘年会ではもっと分かりやすく面白く五人男の一 人で登場する予定ですので、今回新生研修会に参加出来なかった方は是非とも酒なし忘年会で!