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(第1日曜日 13:00〜16:00)
(平成二十一年)一月に入会三十八周年を迎え、七日の本部例会で家内ともども表彰状を頂いた。
この機会に、しんせい編集部から与えられたテーマをもとに、これまでの道のりを振り返ってみよう。
原点とはあらゆる行動の出発点であるから私の断酒の原点は例会ということになる。
そして例会から派生した、いわゆる“摩訶不思議な力”が私の断酒の推進力となってきたのはまぎれもない事実だ。
その力は具体的には例会の中での先輩達の言葉になって現われ、その言葉によって私は啓発されたのである。いくつかの金言をあげてみよう。酒害から立ち直った当事者以外には絶対いえない言葉だ。
○「好かれなくてもいい。嫌われる人間になるな」
アルコール依存症は“人間関係の病気”といわれる。英国の辞典には人間の性格を表現する形容詞が二万語も載っているそうだ。これだけ複雑怪奇な性格がアルコールによってさらにゆがんでいるのだから、断酒会内部の人間関係も難しい。再飲酒しなくても会から消えていく仲間は、人間関係に敗れていくケースが実はかなり多いのだ。この問題はホーレン草(報告・連絡・相談)がキッチリ行なわれていれば、つまりコミュニケーションが円滑ならばかなり改善される。同じ先輩の言葉「例会の人間関係は水を漲ったオケに泥里イモを一杯入れて、ゴリゴリと棒でかきまわすようなもの。やがて泥皮がむけてツルツルしたきれいな里イモになる」―この言葉を聞いてから、私も仲間たちが好きになっていった。
○「シアナマイドを止めないで。シアナマイドで一家離散することはない」
入会そうそう私はこの抗酒剤を飲んだのだが、副作用で皮膚湿疹に悩まされていた。ある例会で「シアナマイドを止めてみようと思う」と発言したら、先輩の奥さんにいわれた言葉だ。私たちの断酒をいかに家族が希求しているかを身を持って体得した忘れられない言葉だった。
○「断酒してもちっとも偉くない」
私の入会の窓口となってくれた先輩が例会でしばしば口にしていた言葉だが、真意を理解するまでかなりの時間がかかった。お酒万歳の世間から変人扱いされてやっとやりとげた一日断酒。何もそんな格好いいこといわなくてもいいではないか……。私たち夫婦の会話は、私はほとんどが断酒会入会後の話。妻は私の飲酒時代の辛い思い出が多い。今になると私が断酒していることは少しも偉いことではない。それなのに妻との会話では自分の土俵(断酒していること)でばかり話をしているようだ。相手の土俵で話を聞かないと、と思う。
○「例会は自分の心の体温計」
恐縮だが最後に私の言葉。かなり以前になるが、その頃の例会は出席者全員が発言しないうちに終了時間がくると、司会者が未発言者は次回にお願いしますといって打ち切った。
いやな思いをして残業を断って「いい話をしよう」と張り切って例会に駆けつけたものの、次回まわしにされた時のあのカッカとした気分―。断酒会の体温計では四十度位の発熱であったかも知れない。会社で面白くなかったことを引きずって出た例会では、仲間の発言にカチンとくる。子供だからうるさいのは当り前なのに、イライラする。たまたま出し忘れた自分のお茶のことであらぬ邪推をする。
例会の体温計でその日の自分の熱を知り、同じ例会が熱を鎮静してくれる。
やはり断酒の原点は例会以外にはないようだ。